碁に夢中!

純碁であそぼう!

純碁のすすめ



 誰でも簡単に囲碁を打てるように、囲碁というゲームの本質的な部分を取り出したのが「純碁」。この純碁は、プロ棋士の王銘琬九段が入門者用に提案しているルールで、いま注目を集めています。
 現在、日本で採用されているいわゆる「日本ルール(日本囲碁規約)」とはゲーム目的や終局後の計算法がいささか異なりますが、純碁のルールを覚えれば、初心者でも終局までちゃんと碁が打てるようになり、「普通の碁(日本ルール)」への移行もスムーズにできるようになるはずです。
 これから囲碁を覚えたいという方はもちろん、初心者への囲碁指導に取り組んでいる方々にも、この「純碁」をおすすめします。なお「純碁」でゲームをするときには、7路盤か9路盤の使用をおすすめします。

*「純碁」について、王九段が「週刊碁」に連載していた全文を読みたい方は、ここをクリックしてください。
*「純碁」の公式ホームページができました。ここをクリックしてください。

基本的な約束事項

基本的な約束事項

以下の2点は、純碁ルールでも日本ルールでも、囲碁を打つうえで大前提となる基本的な約束事項です。

 (A) 石は、線と線の交点に置く(交点に打つ)。
 (B) いちど石を打ったら、動かせない。

純碁ルール

純碁ルール

上の約束事項をふまえたうえで、純碁では以下の5つのルールを覚えるだけで、誰でも簡単に終局まで打てるようになります。

 (1) 黒石と白石は順番に一手ずつ打つ。
 (2) 相手の石を囲めば取れる。
 (3) 同形反復の禁止。
 (4) 打ってはいけないところがある。
 (5) 盤上に残った石数の多いほうが勝ち。

上の(1)から(4)までは、日本ルールでも中国ルールでも純碁ルールでも、まったく同じです。純碁ルールの特徴は、(5)の「盤上に残った石数の多いほうが勝ち」という点にあります。日本ルールの「地の多いほうが勝ち」という計算法や、中国ルールの「地と石の合計の多いほうが勝ち」という計算法と異なり、純碁では「終局までに相手よりもいかに多く自分の石を盤上に残すことができるか」を競い合うことになります。したがって終局後の計算方法も、ちょうどオセロのように、盤上にある自分の石数をすべて数え、相手の石数と比較することによって勝敗を決めることになります。

以下、(1)から(5)までのルールと打ち方を順に説明していきます。

ルール説明

ルール説明

(1) 黒石と白石は順番に一手ずつ打つ

図のように黒1から打ち始め、次いで白2、黒3、白4……と、順番に一手ずつ打っていきます。これを「交互着手」と言います。最後にもう打つところがなくなった場合、あるいは、打つと相手に取られて損をするので打ちたくない場合は「パス」してください(パスも着手の一種です)。

(2) 相手の石を囲めば取れる

自分の石が、相手の石の周囲(タテの線とヨコの線)をすべて囲んでしまった場合は取ることができます。左図は、次にそれぞれaと打てば、白は黒石1個を取ることができます。このような状態を「アタリ」と言います。

白が黒石1個を取ってしまうと、図のようになります。取った石は、相手に返してください。(日本ルールでは、取った石は“捕虜(アゲハマ)”としてあとで役に立ちますが、純碁では得点になりません)

石の数が増えても、囲んだら取ることができるのは同じです。例えば、左のように黒石が2個になっても、白石がそのまわりをすべて囲んでしまえば、黒石を取ることができます。左の場合、白はそれぞれaと打てば黒石を取れます。

(3) 同形反復の禁止

左図は、黒石3個が白aの石をアタリにしているところ。次に黒はbと打てば、白石1個を取ることができます。

では取ってみましょう。

黒がbと打って白石を取ると、左図にようになります。しかし、こんどは黒bの石が、白に取られそうです。つまり次に白にaと打たれると、黒bの石は取られてしまいます。すると上の図に戻り、黒が取るとまた白が取り返して……と、いつまでたっても終らなくなってしまいます。そのため、最初に黒がbと白石を取ったとき、白はすぐに取り返すことができないルールになっています。白が黒bの石を取るためには、いったんどこか別のところに打ったあとでなければなりません。このかたちを「コウ」と言います。実戦でよくできますので、しっかり覚えておいてください。

(4) 打ってはいけないところがある

囲碁というゲームは、基本的には盤上のどこに打ってもいいのですが、例外的に「打ってはいけないところ(=着手禁止点)」があります。自分が石を打ったとき、「相手の石にまわりをすべて取り囲まれてしまうところ」には打てません。たとえば左のa。ここに黒は打つことができません。なぜなら打った瞬間、まわりを白に囲まれ、取られる状態になっているからです。ルール上、このような自殺手は禁止です。ただし白ならaに打っても、もちろんルール違反にはなりません。

しかし左のような場合は、黒はaに打つことができます。左図で黒がaに打つと、左側は白石4個を取ることができ、右側は白石3個を取ることができます。つまり、次の手で相手の石を取ることができる場合は、aに打ってもルール違反にはならないのです。

(5) 盤上に残った石数の多いほうが勝ち

これはわざわざ説明する必要もないかもしれません。純碁では、石を取ったり取られたりしながら、最終的に盤上に生存できる石の数を競い合うことになります。したがって最後は右図のように、これ以上打つことのできない空点を除いて、盤上は黒石と白石でぎっしり埋まった状態になります。
右図の場合、黒石は全部で41個、白石は34個なので、黒の7目勝ちとなります。

以上で「純碁」の説明はおしまいです。論より証拠で、さっそく打ってみてください。

★「純碁」が創案された背景や囲碁ルールの歴史に興味のある方は、王銘琬九段著「純碁」をご一読ください。(ただし囲碁初心者には少し難しいかもしれませんので、あしからず)

★「純碁」公式サイト「純碁-10分で覚えられる囲碁」はこちらからどうぞ。

最終更新日:1999.12.18 / 修正 2018.9.30