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Photos by Takuya Mori



最終更新日:1998.6.23

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かながわファミリー囲碁教室レポート

 3/14に横浜の上大岡で開かれた「かながわファミリー囲碁教室」に行ってきました。 会場は、昨年オープンしたウィリング横浜の体育室(小振りの体育館でバスケットボールとかができるくらいの広さ)。 あたらしく、きれいな会場でした。開会予定時刻の10分ほど前に到着し、早速デジカメ用バッテリーの充電とラップトップを繋ぐための電源コンセントをキープ(^^)。怪しい奴だと思われたに違いない(^^;)。
 開場時刻になり、どこかで聴いた音楽が……。
「♪このー木、何の木、気になる木〜♪」
 初めてフルコーラス聴きました。
 そうこうしているうちに、10分ほど遅れて開会。 開会の挨拶(名前を失念してしまいました)のあと、早速ポンヌキゲームの説明開始。 先生は、有村比呂司 6段と祷陽子3段。
 全体で100名くらい参加したうち、子供は小学校低学年が中心で、4歳以下2割、幼稚園3割、小学校低学年5割くらい。 なので、司会のお姉さんや有村先生も幼稚園の先生ののりで、
「みんな元気ぃ? (元気ぃ) ちょっと声が小さいなぁ。元気ぃ?(元気!)」
 という感じで進行してました。

 緑色のビニールシートの碁盤とプラスチックの碁石が会場入り口で渡されており、まずはその説明から。
「緑色のシートを碁盤といいます。 黒いのを黒石といいます。じゃあ、この白いのは?(白石)」
 と、参加者に答えさせて飽きさせないのはうまいですね。
 で、石は中央、辺、隅に置けることとマスの真ん中や碁盤の外には置けないことを説明。次に、ポン抜きを説明。 辺と隅に関しても説明した後、参加者に前に出てきてもらってポン抜きができる場所に石を置かせる。 手をあげさせて選んだのですが、3割ぐらいの子供が手を挙げたのはちょっとびっくり。 幼稚園から小学校低学年が中心なので、飽きさせないためには各パートを細切れにして参加させたほうがいいということなんでしょうね。

 隅のポン抜きで3目で囲ってしまったときに、「正解。 よくできました。 でも、この石(2の2)には隅の石からは線が出てないよね? だから(2の2が)なくても隅の石はとっていいんだ」と、間違えてるとは言わないんですね。
 ここで2子の抜きも問題として出し、小学校3年生ぐらいの子が前に出てきましたが見事正解。 この子は本当は囲碁を知っているのじゃないか?と疑っていたのですが、その後、インストラクターの方たちと子供が打っているのを見ると、かなり多くの子供が2子以上の取りについても理解しているので、子供の吸収力に感服。
 石の逃げ出しを説明した後、手を挙げさせて選んだ 12人ほどの子供を2チームに分けて大盤で対局させました。 希望者が多く、早早に終わってしまったりしたため、3回ゲームしました。
 その後、子供 3-4人に一人のインストラクターがついて練習を開始。 これを2回繰り返したのですが、2回目にはインストラクターを交代させていました。 これも子供を飽きさせない工夫の一つかな。 同伴のお母さんたちも一緒に練習していました。
 次に6チームに別れ、大会を。 各チーム15人づつで5分ほどの制限時間内にいくつ石を取れるかを争いました。 同じ相手とのゲームを2回繰り返した後、奇数番目のチーム先頭の2人を一番後ろに移動させて対戦相手を代えてもう1ゲーム。みんな、熱中して戦ってました(^^)。
▲祷陽子三段
 そのあとポン抜きビンゴ。 あらかじめ4個所に黒石が書いてあるビンゴカードを使い、その石がポン抜けたらビンゴということになります。 カードに書いてあるのは数字ではなくサルとかきつねとかの絵文字でした。 このあたり、幼稚園児を意識してそうしているのかなという感想を持ちました。
 最後に抽選で日立提供の電化製品が当たる抽選を。 ryuさんが3等賞に当たりましたが、辞退(^^;)。
 原田実さんが締めの挨拶をして散会となりました。 原田さんの挨拶はちょっと子 供向きでなかったのは残念。
 途中で祷さんがそばに来たので、ずうずうしく(^^;)ちょっと話をしました。なかなか感じのいいかたですね。 にこにこと子供に接するのを見ていると幼稚園の先生という雰囲気が(^^)。司会のお姉さんは有村さんの奥さんだという話を伺いました。
 途中で投げ出す子供も少なく、なかなかいい催しだったと思います。関係者の皆さん、お疲れさまでした。

●いくつか気がついた点を。
・会場設営のとき、マイクの位置などもう少し気を使ったほうがよかった。
・式次第は、説明 or 掲示しておいたほうがよかった。
・碁盤や石の説明をするときには現物を見せたほうがよい。
・あのサイズの会場で使うには絵文字カードがちょっと小さかった。
・前に出る子供を決めるのは、担当者を決めて後ろのほうからも選びやすくする(最後はそうやっていたが、最初のうちは前方にいた子供が選ばれることが多く、後ろの子がかわいそうだった)。
・ところどころ難しい言葉が出てきたり、同じことを違う言葉で説明したりしていたが、用語を統一して言い換えをするなどしたほうがよい。(「交点」を線がぶつかったところといいかえるとか、ビンゴのとき、リーチという言葉を使ってたが、「アタリ」の方がよかったとか……)
・子供がうちに帰ってからゲームをする際に、親御さんがガイダンスするのに使えるようなポン抜きの簡単な説明書があるといい。 その中で、囲碁のルールについて触れるなり、参考書をいくつかあげておくと更によい。(Takuya Mori)




子供囲碁教室レポート

 今、子供囲碁教室(毎週火曜日午後6時30分から9時頃まで)から帰ってきたところです。今日の参加者は約20名(棋力:60級から四段まで)くらいで、おばあさん1名、お母さん1名も参加していました。
 私は、小学校2〜3年の子供(初段くらい)と3子局を打ってきました。結果は黒の3目勝ち(誰かが「わざと負けるのが良い」と言っていたので…???)。
●指導方法について:基本的には京都の藤田塾の方法を参考にしているとのこと。
●対局:連勝すれば昇級、昇段。
●棋譜並べ:9路盤からあり。
●問題集を解く。日本棋院発行の「囲碁入門」のテキストを使用。漫画もあります。
 なお、一番始めに教えることはやはり「石取りゲーム」で、子供たちは、これを1日で卒業するとのことです。囲碁を覚えた子供たちには、大会に出場したり、他の子供囲碁教室との交流対局などが一番良いと言うことです。
 私が見たところでは、みんなわいわい言いながら楽しんで打っているように見えました。これが良いのではないでしょうか。そのぶんマナーはもう一つですが、それでも正座をしている子供もいることから、マナーは無理に押しつけなくても自然に覚えてくれるようです。(Matsuda Masami/98.3.24)

 今日、石取りゲームを卒業したばかりと思われる子供達が打つのを見ていて感じたことを少々。
 打っても取られることがわかっているようなところでも本人達にはそれがわからず、自分達にわかるまで一生懸命打っていました。たとえ初心者でも大人がこんな打ち方をすると、「囲碁は石を取るだけのゲームではない」と注意されたり、打たれた方が嫌になったりしますが、子供たちはそんな石取りゲームを楽しみながら石の取り方を覚え、囲碁を覚えていくようです。「だから石取りゲームを卒業したばかりの子供でも19路盤で碁が打てるのだな」と感じました(納得)。
石取りゲームを卒業したはずの子供でも、もし自分が、石取りゲームをしたいと思っているときはその通りにさせるのが、碁は楽しいゲームだということを教えるコツのように思いました。
「囲碁とはこういうゲームだ(石を取るゲームではない)」というようなことを無理矢理教えると、せっかくルールを覚えた子供たちは逃げてしまうと思います。とにかく納得するまで自由に打たせてやることが必要だと思います。
「石を取って喜んでいたら負けていた」という経験をすることで、次第に石取りゲームを卒業するはずです。早く石取りゲームを卒業させようとするものではない、と強く感じました。事実、棋力に関係なく石を取るのは楽しいですから……。
まったく囲碁を知らない人や級の人から「どこに打つべきか」を尋ねられますが、返事に困ります。次の一手は、あくまでも「私ならこの後こういうことを考えながら打つ」という最初の一手であり、「最善の一手」ではないからです。最善の一手は誰にもわからないと思います。
「最善の一手を打つ」ことが大切なのではなく、「自分は今どこに打ちたいか」が大切なのだと思います。大人は、「本当に良いのはどこか」を考えすぎて「打ちたいところ」を感じることができにくいようですが、子供たちはその感性をを持っています。その感性を大切にしてやることが重要ではないでしょうか。(Matsuda Masami/98.3.31)




岩田子供囲碁教室レポート(その1)

 本日(4月11日)、岩田一7段のお宅の子供囲碁教室を見学してきました。行く前はちょっぴり心配でしたが、至福の囲碁空間にどっぷりと浸って、ほんとに楽しかったです。 我が囲碁人生最良の日のひとつと思います。
 お子達は30人はいましたかね。3歳ぐらいの入門の子供から、中学・高校生、夕方ぐらいから幕張から院生もきてるようでした。西村慶二7段が遊びに来られていて、院生達の碁を見てあげたりしてました。
 いろいろ感心したことが多すぎて、まだ脳の整理がつきません。岩田先生にも夕食前のひととき、たっぷりお話を伺うことができました。内容は別途ご報告します。
 岩田先生はトレーナー姿でくつろいだ格好をされてましたが、実に温顔で大人(たいじん)の風格があり、初対面の私にも親切に丁寧に応対して頂きました。囲碁の普及に対する先生の情熱がひしひしと伝わってきました。プロ棋士の方ってほんとに立派な人が多いですね。
 岩田先生のお宅には内弟子の女性が御二人おられ、非常に熱心に指導されてました。成島 なつさん(22歳)、甲田 明子さん(21歳)です。御二人とも、平成10年度の棋士採用試験(東京)の一般の部の本選で、あと一歩及ばずという成績でした。とてもやさしく親切な方々で、是非是非プロになっていただきたいです。さすがに2ショット撮影はできませんでしたけど。
 有村先生は岩田先生の娘さんと結婚され、同居されているんですが、外出されていて残念ながらお会いできませんでした。

 このホームページ(拓さんの「ファミリー囲碁教室レポート」と松田雅美さんの「子供囲碁教室レポート」が掲載されてるもの)をカラー印刷したものと、「かながわファミリー囲碁教室」のryuさんとyotaさんによる感想のプリントを御渡ししました。ファミリー囲碁教室の話題がIGO-MLでの子供囲碁教室サポート活動を説明する上でたいへん役立ちました。(Suzuki@ogikubo/98.4.11)



岩田子供囲碁教室レポート(その2)

 岩田子供囲碁教室レポート第2弾をお送りします。今回は、時系列順にどんなことを見聞して、どう感じたかについてお伝えします。やや長文になってしまいました。
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(1)岩田教室の概要
 岩田先生は子供教室のための空間を第一に考えて、ご自宅の設計をされたそうです。岩田先生のお宅は、地下1階、地上2階になっており、子供教室は入門、初級、低段の子供たちは地下の大部屋、高段になると1階の和室という2層構造になっています。
 まるで階級があるみたいに思われそうですが、高段の子供たちも地下(下)に来て一緒に遊んだり碁を打ったりしています。岩田先生と有村先生は1階(上)で2面打ちをされていますので、上では碁以外の話はできない空気です。
 下は保育所、上は禅寺みたいな感じです。
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(2)下の部屋
 お宅に伺いまして、岩田先生にご挨拶を済ませますと、まず下の部屋に案内されました。地下と言っても、採光が工夫され、自然光が豊富にはいってくる ので、普通の部屋と変わらない印象です。
 広さは12畳ぐらいと4畳ぐらいの空間がひと続きになってます。この空間に20人以上の子供たちが集まってくるわけですから、かなりの騒音になりますが、1階に上がるとほとんど子供たちの声がきこえなくなりますので防音の工夫もされているみたいです。
 指導スタッフは、私を招待して下さったSさんという女性が、対局の組み合わせや昇級を決めたり、色々な切盛りをされていて、内弟子の若い女性二人(成島さんと甲田さん)が入門指導やアドバイス(時には子守り)をされているようです。岩田先生は、下の部屋のことはすべて彼女たちにおまかせしているそうです。
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(3)入門指導
 4畳ぐらいの場所には2面碁盤があって、甲田さんが覚えたての女の子(4歳ぐらい?)に25子置かせて辛抱強く教えておられました。
 9路盤で教わってから初めて19路盤で打つらしいのですが、まず2間の間隔で25子を置くことからして、小さい子供にはなかなか難しいようで、ちゃんと自分で正しく置けるまで、やさしく指導されているのに感心しました。
 子供が着手禁止点に打たない限りは決して手直しせず、うまいぐあいにゲームとしての均衡を保ちながら、適当に石を取らせてあげながら、子供の興味を持続させるという打ち方をされていてたいへん感心しました。
 女の子はポンヌキで石を取ることに夢中になっているようでした。地の多さを競うということはまだ教えていないようです。
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(4)子供同士の対局
 12畳ぐらいのメインの場所は、コルクタイルの床の上にカーペットが敷かれ、足付き碁盤が5面ずつ2列に並べてありました。
 1つの碁盤の上には、詰め碁問題が4隅に並べてあり(初級向けから4、5段向けまで難易度を変えている)、子供たちには、まず最初に詰め碁を解かせるという習慣になっているそうです。相談するのも特に禁じてはいないようで、楽しそうにワイワイやってました。
 入門が終わったら指導碁は行わず、子供同士でどんどん打たせているそうです。月ごとにリーグ戦を行い、上位者は上の教室といれかえになるそうです。対局カードをつくり、一局終わるごとに「勝ちました」と報告にきます。対局カードは、子供たちが普段呼び合うニックネームで書かれているのが面白いなと感じました。
 その他の指導としては、一人一人に宿題として詰め碁の問題や棋譜を入れたビニールケースを持たせ、お弟子さんたちが添削しているそうです。
 小学校2年生の男の子と幼稚園ぐらいの女の子の対局を見ました。どちらも30級か40級ぐらいで、女の子はポンヌキをひたすら続けて行く打ち方で一個所からジワジワと打ち進めるのに対し、男の子は我関せずと4線の2間ビラキを続け「地がいっぱい」という打ち方をしていて、さながらアリ対猪木の異種格闘技戦のようでした。
男の子「まだ打つところがありますか?」
女の子「あります」
男の子「どうぞ打ってください」
 というやりとりで対局停止の確認をやってました。
 結果は男の子が100目以上勝ちになったのですが、掛け算を知らない子供には地の計算がたいへんで、そういうときには大人がアドバイスしてあげていました。
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(5)上の部屋
 強い五段という子供と手合わせしてみたらということになり、上の部屋で対局することになりました。
 上の部屋は8畳ぐらいの和室で、岩田先生とアマ強豪の男性(岩田会で一番強い方)が奥に座られ、それぞれ子供相手に2面打ちをされていました。
 空気がピンと張り詰めたようで、ちょっぴり緊張しました。手前に碁盤が2面並んでいて、1面は子供が2人対局していて、その横の空いた碁盤で対局をはじめました。
 対局の途中で甲田さんが座布団をすすめて下さいました。子供たちは座布団なしですが、大人は座布団を使って良いそうです。誰もタバコを吸わない(禁煙なのかどうかはわかりませんが)ため、空気がきれいで、誰も私語を発しないせいか、碁盤にすごく集中できる空間だなあと思いました。
 私たちの隣で対局している子供の打った手を、ナナメ後方で指導碁を打っておられる先生が見咎めて、やや厳しい口調で悪手の指摘をされていました。その子供も真剣にききいっていました。この部屋で指導を受ける子供たちの中には、多分プロをめざそうという子供もいるのでしょう。
 下の部屋の様子とはがらりと違って、指導の仕方も師匠が弟子を叱るといった感じになっているようでした。これでは鍛えられないわけがありませんね。
 あとで聞くと、私の相手をしてくれたお子さんは新垣9段のお嬢様で、新垣先生の奥さんが岩田先生の奥さんの妹さんらしいです。プロを目指して頑張ってほしいものだと思いました。
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 時刻も6時ごろになって、そろそろおいとましようかと思っていたら、Sさんの根回しのおかげで岩田先生に取材させていただけることになりました。内容は次回のレポートでご紹介します。(Suzuki@ogikubo/98.4.12)



岩田子供囲碁教室レポート(その3)

 岩田子供囲碁教室レポート第3弾をお届けします。今回は岩田先生から直接伺えた貴重なお話をご紹介し、締めくくりといたします。
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(1)岩田先生とご対面
 時刻も6時ごろになって、小さい子供たちはみんな帰って行きました。私もそろそろおいとましようかと思っていますと、Sさんの根回しのおかげで岩田先生に取材させていただけることになりました。
 Sさんに導かれて、1階のリビングに居られる岩田先生のところへ行き、おずおずと先生に見学のお礼を申し上げ、IGO-MLで子供囲碁教室の話題が一部で盛り上り、効果的な教え方について意見交換をしている事、先日の「かながわファミリー囲碁教室」の反響がMLに寄せられた事などについて、持参の資料をお見せしてご説明しました。
 キンチョーのため、早口で一方的にべらべらしゃべってしまいましたが、岩田先生は私が話し終えるまで、じっと聞き入ってくださいました。先生は、事前にSさんから私の訪問の趣旨を聞いておられたようで、子供教室をやろうとした動機、今までの歴史、これから先の展望について、順序だててゆっくりと丁寧に語ってくださいました。

(2)岩田先生かく語りき
 囲碁教室とは言ってるけど、「子供たちに碁を教えよう」ではなくて、「子供たちに碁を打てる場所を提供しよう」という気持ちで始めたことなんです。碁という素晴らしいものに子供たちが接する機会がないという、ある種の危機意識、不安感があった。
 もう20年になるでしょうか。はじめは新宿の「本因坊」で子供教室を始めました。僕がまだ20代の頃。内弟子の甲田あっこちゃんなんかは、3歳の頃にその教室に来てたんです。岩田会ができて16、7年だから子供教室の方が古い。
 それから学芸大、・・・荻窪で10年と、囲碁教室ができるってことを前提に引越しをしてきた。この家もそう。マンションなどではやはりいろいろと難しいから。
 子供の指導にテキストを使わないことに驚かれたようですが、今のところテキストを使っていく気持ちはないんです。子供教室をこれから始めるにしても、教え方の真似をするより、(教える側の)考え方を(我々と)共通にしていければ。思いがどう生きてくるか(が大切)ということです。
 下の教室のことはSさんにおまかせしてます。自分が弟子達に指導を通じて伝えている気持ちを、弟子たちが子供たちに伝えてくれている。教室に来る子供で碁をやめてしまう子供は少ない。受験で中断することはあっても戻ってくる。
 碁というのはコミュニケーションの媒体だから、将来にプラスになってくれればそれで良いんです。昇段も適当で、今日も2段の子がリーグで連勝したので、3段の試験碁を打った。まだ3段にはなれないけど、2.5段にした。それでも子供は喜んでいるんだから良いんです。
 碁の教育みたいなカリキュラムを組んでやっていくと、「落ちこぼれ」ができるのが心配です。碁がきらいになるのを恐れます。
 今うちに来てる子のなかでプロを目指す子もいますが、自分の意志でプロを目指している。院生の弟子は5人います。プロを目指す子には学校教育は中学までで十分と、はっきり言う。それで高校受験を止めてしまった子もいる。僕自身、大学では友人がたくさんできたことは良かったが、プロになる以上、タイトルをねらえる棋士にという思いはある。
 碁の普及に熱心なサポーターを大切にしたい。
(子供教室については)棋士として個人のレベルでできることは(すべて)やっている。あとは、日本棋院に重い腰を上げてもらいたいんだけど。
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 岩田先生は終始にこやかに、目を輝かせてお話され、私はいつまでも聞いていたいと思いましたが、夕食の時刻になってお暇をいたしました。
 徒歩での帰路、先生のお言葉を反すうしつつ、精神が浄められたような幸福な感覚が持続し、「囲碁をやってて良かった」とつくづく思ったのでした。(Suzuki@ogikubo/98.4.24)